2025年度後期のNHK朝ドラ「ばけばけ」に登場する雨清水傳(うしみずでん)。
堤真一さんが演じ、ヒロイン松野トキを支える重要な存在です。
物語の中で人格者として描かれる雨清水傳には、実在のモデルがいるのか注目が集まっています。
調べてみると、松江藩の上級武士であった小泉湊(本名は小泉弥右衛門湊)がモデルと考えられます。
そこで今回は、堤真一さんが演じる雨清水傳のモデルの小泉湊の生涯や人物像、ドラマとの関係について調べてみました。
小泉湊とは誰か?雨清水傳のモデル候補
雨清水傳のモデルとされる小泉湊は1837年に出雲国松江で生まれました。
小泉家は松江藩で代々仕えた名家で、藩内でも高い家格を誇っていました。
小泉セツの実父であり、セツは後に作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻となります。
小泉湊の存在は、武士の歴史と文学史の両方につながっています。
生年月日・出身・家柄
小泉家は松江藩で三百石を与えられた上級武士の家でした。
藩内には約一千人の上士がいましたが、その中でも番頭(ばんがしら)を務めることができる家は限られていました。
しかし小泉家はその一つで、五十人規模の侍を率いる立場にありました。
家柄の高さは藩でも知られており、湊はその八代目当主として家督を継ぎました。
教養と武芸・役割
湊は学問と武芸に優れた人物でした。
藩の習兵所で役職を務め、若い藩士の教育にも関わっていました。
幕末期には京都の守衛や長州戦争での任務に参加し、戦場での指揮を執ったこともあります。
小柄ながらも覇気に富み、意思の強い武士として記録されています。
こうした人物像は、ドラマの雨清水傳の設定と重なります。
雨清水傳との共通点と違い
ドラマに登場する雨清水傳と史実の小泉湊には、多くの共通点があります。
松江藩の上級武士という立場や、文武両道のエリートとしての人物像は史実と一致しています。
家族を大切にした姿勢も両者に共通しています。
一方で、雨清水傳という名前は創作です。
ドラマでは松野トキの親戚として描かれますが、この「親戚」という立場の強調は物語上の工夫です。
細かな関係性や役割は史実とは異なり、ドラマ的に再構成されています。
明治期の小泉湊と小泉家の行方
小泉湊の人生は幕末だけでなく、明治維新後にも注目すべき点があります。
武士の身分を失った湊は、新しい時代に適応しようとしました。
社会的・経済的変化と事業の挑戦
明治維新で家禄制度が廃止され、多くの士族が生活に困りました。
湊もその一人で、機織会社を設立して事業に挑戦しました。
しかし経営は成功せず、やがて倒産してしまいます。
晩年はリウマチを患い、1887年に亡くなりました。
栄光と挫折の両方を経験したその姿は、時代の荒波に翻弄された武士の象徴と言えるでしょう。
居住地と旧居の現在
湊の暮らした家は残っていませんが、娘セツと小泉八雲が暮らした旧居が松江に現存しています。
塩見縄手にある小泉八雲旧居は現在も保存され、観光地として多くの人が訪れています。
小泉家の歴史が現代に伝わるのは、この旧居の存在が大きいと言えるでしょう。
小泉湊はどんな最期?
晩年の湊は体調を崩し、リウマチに苦しみながら生活していました。
幕末の戦場で活躍した武士も、明治の世では安定した立場を保てず、事業の失敗や病によって厳しい状況に立たされました。
そして1887年、50歳でこの世を去ります。
幕末から明治の大きな変化を経験した湊の生涯は、時代の荒波を象徴するものであったと言えるでしょう。
雨清水傳は実在人物か?史実との違いは?
雨清水傳という人物はフィクションですが、そのモデルとされる小泉弥右衛門湊(こいずみやえもんみなと)は実在しました。
松江藩で家禄三百石を持つ上級武士であり、武芸と学問の両方に優れた人物像は史料に裏付けられています。
史実では、湊の娘である小泉セツは生後7日で親戚筋の稲垣家に養女として出されています。
実父は小泉湊でありながら、育ての家は稲垣家という複雑な背景を持っていました。
ドラマで雨清水傳を「親戚」として描くのは、この史実の要素を踏まえて設定をアレンジしたものと考えられます。
人物名や関係性を変えることで、物語を分かりやすくしつつ史実の雰囲気を伝えていると思われます。
まとめ
「【ばけばけ】雨清水傳は実在の人物!モデルの小泉湊とはどんな人?」を最後までご覧いただきありがとうございました。
雨清水傳はドラマ用に創作された人物ですが、モデルとなった小泉湊は松江藩で実在した上級武士でした。
三百石を持ち、文武両道のエリートとして幕末を生き抜きました。
明治維新後は新しい事業に挑むも失敗し、晩年は病に苦しみながら生涯を終えました。
娘セツを通じて小泉八雲と結びついたことも、日本の文化史に影響を与えました。
ドラマ「ばけばけ」は史実をベースにしながら脚色を加えています。
背景を知ることで、作品をより一層楽しめるのではないでしょうか。
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