鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌う理由はなぜ？史実と違いはある？

大河ドラマ「べらぼう」では鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌っている感じがします。

江戸時代の出版業界において、鶴屋喜右衛門と蔦屋重三郎は重要な存在でした。　

ドラマでは鶴屋と蔦重の間にどのような因縁があったのでしょうか？

そして史実ではどうだったのかも気になるところです。

今回は、以下の鶴屋喜右衛門について調べてみました。

鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌う理由はなぜ？
鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌った史実と違いはある？

それでは、「鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌う理由はなぜ？史実と違いはある？」の記事をお届けします。

鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌う理由はなぜ？
1. 鶴屋と蔦重の関係は？
2. 鶴屋と蔦重の商売のやり方の違いとは？
鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎の関係は史実と違いはある？
まとめ

鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌う理由はなぜ？

鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎を嫌った理由は、蔦屋の革新的なビジネス手法が鶴屋の価値観と相容れなかったからです。

鶴屋と蔦重の関係は？

江戸時代の出版業界は、長年の慣習やルールに基づいて運営されていました。

鶴屋喜右衛門は、こうした業界の秩序を守る立場にあり、出版物の価格設定や販売方法に一定の規則を持たせることを重視していました。

しかし、蔦屋重三郎はその常識を覆すような革新的なアプローチを取りました。

例えば、当時は木版印刷の本が高価で、裕福な町人や武士階級しか手にできませんでした。

しかし、蔦屋は価格を大幅に引き下げ、多くの庶民でも手に取れるようにしたのです。

これは一見すると素晴らしいことのように思えます。

しかし価格競争を生むことになり、既存の出版社にとっては大きな脅威でした。

鶴屋にせよ、鱗形屋にせよ、西村屋にせよ、突如あらわれた別業種の人物がメキメキと頭角を表したら、それは警戒するということでしょう。いわば、出る杭は打たれる、です。
BUSHOO!JAPAN (武将ジャパン)

特に、伝統を重んじる鶴屋にとって、蔦屋のやり方は業界の秩序を乱す「危険な行為」に映ったのです。

鶴屋と蔦重の商売のやり方の違いとは？

もう一つの大きな理由は、鶴屋と蔦重の商売のスタイルの違いです。

鶴屋喜右衛門：格式や品格を重んじた本作りをし、長年の伝統を大切にした。
蔦屋重三郎：大衆の好みに合わせ、娯楽要素の強い本を作り、価格を抑えて販売した。

この違いは、現代の出版業界にも通じるものがあります。

たとえば、文学作品を専門に扱う出版社と、大衆向けのエンタメ小説を売る出版社があるようなものです。

鶴屋は、蔦屋の「売れるもの優先」のやり方に強い反発を感じていたと考えられます。

鶴屋喜右衛門が蔦屋重三郎の関係は史実と違いはある？

では、こうした鶴屋と蔦屋の対立は史実に基づいたものなのでしょうか？

実際には、二人は必ずしも激しく敵対していたわけではないとされています。

鶴屋と蔦重は史実ではライバル？

確かに、鶴屋と蔦屋は競争関係にあったことは間違いありません。

しかし、それはビジネスの上でのものであり、ドラマや小説のように「お互いに憎み合っていた」わけではなかったようです。

曲亭馬琴（『南総里見八犬伝』の作者）による山東京伝の伝記『伊波伝毛乃記』には、「天明（1781～1789）の末に、書肆蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門等とともに、日光御宮並に中禅寺に参詣せしことあり」と、蔦屋重三郎、鶴屋喜右衛門等ともに、日光に参詣したことが綴られている。
JBpress (ジェイビープレス)

むしろ、二人はお互いに影響を与え合いながら、江戸の出版業界を発展させていきました。

蔦屋の成功に刺激を受けて、鶴屋も新たな工夫を取り入れることもあったと考えられます。